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2013.08.28 23:05|宮本慎也
東京ヤクルトスワローズ・宮本慎也選手
今シーズン限りでの引退を表明しました。

由伸ファンの私は、宮本選手といえば
真っ先にアテネ五輪での野球日本代表の戦いぶりが思い浮かびます。

06284551.jpg

これは、2003年11月
翌年のアテネ五輪を前に、札幌ドームで行われたアジア予選の時の写真。

長嶋監督指揮の下

1番・ショート 松井稼頭央 
2番・セカンド 宮本慎也 
3番・センター 高橋由伸 
4番・キャッチャー 城島健司

全員がプロ選手、当時最強と謳われ金メダルを目指したチームです。

アジア予選を完璧に勝ち抜き、イタリア合宿を経て
アテネ五輪本戦でも予選リーグをトップで通過。
しかし準決勝でオーストラリアに敗れ無念の敗退、銅メダルとなりました。

宮本主将、補佐した由伸も、
チーム全員が肩を震わせ涙したあの日のことを、忘れることはできません。

その後の北京五輪やWBCでも主将を務めた宮本選手は
機会あるごとに言っていました。

「自分の中では、アテネのチームが一番好きだった」と。

19年間の現役生活にピリオドを打つと発表した日。
宮本選手から、やはりその言葉を聞くことができました。

台湾戦での由伸の渾身のガッツポーズ付きのホームラン。
松坂大輔が右腕に打球が直撃しながらも投げ抜いたキューバ戦。
表彰台の高さは一番低かったけど
強くて、全員がひとつになっていて、カッコよくて、素敵なチームでした。


2000安打を達成し、打者としても大きな足跡を残した宮本選手ですが
やはりその原点は「守備力」

昨年、あるものすごい記録を打ち立ててもいます。
あの長嶋茂雄さんが1969年にマークした
三塁手としての214守備機会連続無失策(連続シーズン)のプロ野球記録を
43年ぶりに塗り替える215守備機会連続無失策という記録です。

こういったシーズン記録は
通算記録である2000安打や、~百号本塁打などとは違い
脂の乗り切った年齢の選手が作るものという認識がありましたが
41歳の宮本選手がこのような大記録を達成したというところに、驚きを覚えます。

打球の予測がつくショートとは違い
強い打球に対しての瞬時の反応が求められるサードに転向。
楽なサードだから・・という見方も当然ありますが
やはり守備位置ひとつ変われば景色も打球の質も変わります。

長い間、積み重ねてきた精進・鍛錬に加えて
未知の守備位置・三塁手として、陰の努力も人知れずあったことでしょう。

そうでなければ、本格的にサード転向してから2年間
送球エラーがわずか2個という結果は残せません。
並大抵の努力ではこんなに素晴らしい記録は達成できないはず!

2011年には、三塁手としての守備率日本記録も更新~
シーズンを通じて失策はわずか1つ。
守備率はなんと、9割9分7厘という内野手としては驚くべき数字です。

唯一の失策がなければ
内野手史上初の守備率10割を達成していたわけです。

野球というスポーツでは、後ろに誰もいない外野手のエラーは致命的。
多くの場合、失点に結びついてしまいます。
ですから滅多にないのが外野手エラーです。
(当然ながら下手な外野手の目に見えないエラーというのは、年間数え切れないくらいありますが・・・)

しかし内野手の場合、捕球エラー、送球エラー含めて
一試合で数回のエラーも珍しくはありません。
内野手の中では、最もエラーの記録されにくいポジションのサードであるとはいえ
2011年シーズンの宮本選手の守備率は見事のひと言です。(しかも既にこの年、41歳!)


宮本選手がいた頃のPL学園野球部の練習は想像を絶するものがあり
特に守備を徹底的にしごかれた(もう今では死語かもしれませんが)という話は有名。

例えば先輩とのキャッチボール時
正確に相手の胸に投げ返さないと「スッとグラブを引かれ」捕ってもらえなかったそうですね。
内野ノックの時も同じ
ファースト送球の際、ほんのわずかな乱れも許されず
一塁手の正面に投げられなかったボールには、あるはずのミットもなく
無情にもファウルゾーンを転々と転がって行き、それを拾いに行くのももちろん自分自身。
何度も何度も走るうちに
「絶対に正面に投げるんだ!」という強い気持ちが芽生えたと言います。

せっかく捕った打球なのだから
最後の仕上げでエラーすることは悔しくて許せない。
この強い気持ちがあの正確無比なスローイング、高い守備力を支えてきたに違いありません。

若手には厳しいと言われる宮本選手ですが
人を叱るにはまず自分がそのことを実践出来ていなければ、言葉も気持ちも伝わらないですね。
「燕の背番号・6」の意識の高さは、スワローズの未来を背負う選手たちに
必ず、必ず受け継がれていくのだと思います。


ジャイアンツの二遊間、坂本、寺内コンビも
チームの垣根を越えて宮本選手の自主トレに参加させてもらいお世話になりました。
坂本選手の守備力向上、いぶし銀のような打撃を伝授された寺内選手の今シーズンの飛躍。
引退表明に際し感謝する気持ちを語っていましたが
いつか、二人でゴールデングラブを獲っての恩返しを誓っていることでしょう。

遊撃手として6度、三塁手として4度のゴールデングラブ賞に輝く名手、宮本慎也。

無失策記録を作った時に、こう語っています。

「毎試合、エラーしたくないと思ってプレーしているが、勝負しにいってエラーになる時もある。
記録を意識したことはない。
ピッチャーが打ち取った打球を確実にアウトにすることを心掛けてきた。
年がいっても守備で迷惑をかけずに出来ているのかなと思う。
これからもチームメイトに信頼される守備を続けていきたい」


どんなファインプレーよりも確実なアウトを重ねた結果の素晴らしい記録達成。

もちろん守備だけではなく
そのバッティングでもチームを引っ張る存在でした。
バントの名手でもあり、通算400犠打と2000本安打の両方を記録している唯一の選手。
打者として大きな記録を達成しながら、一方では自らのアウトによりチームに貢献できる選手でもありました。

そして走者となった時にも
併殺崩しのスライディングなど
40歳を越えてからも激しいプレイを何度も見せられ
相手チームファンとして、悔しい思いを味わいもしました。

通算2000安打や計10度のゴールデングラブ賞。
しかしそれ以上に誇れるものとして
「全力でボールを捕りにいって、アウトにするという姿勢を最後まで貫けたこと」を挙げています。


高橋由伸はいつも親しみを込めてこう呼びます。

私も真似して・・・

『慎也さん』へ

19年間、本当にお疲れさま。
残り少なくなってしまったけど
貴方が勝ちたいと思ってやってきた、毎日毎日、この試合に勝ちたいと思って立ってきた場所。
大好きな神宮のグラウンドで躍動してくださいね。
慎也さんらしく、正確なスローイングでフィニッシュまで!



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